カードゲームにおいて「デッキのやりたい事をいかに安定して毎回行えるか」その再現性の高さが重要です。
この再現性を高めるにはデッキ構築の段階で工夫しなければいけません。
この記事では、どのように構築すれば再現性を高めることができるのかを”カードの採用枚数”に焦点を当て解説していきます。
僕自身がどのような部分を意識して構築の枚数決定に至ってるか
個々人によって意見が分かれる部分もあると思いますが、可能な限り分かり易くまとめてみましたので、何か一つでもご参考になれば幸いです
目次
抑えておくべきポイント
僕自身がラッシュデュエルの構築において捉えているポイントを簡単にまとめると以下の3点になります。
- 3積みを多用して再現性を高くする。
- 1~2積みの意図を考える。
- 限定的にしか活躍しないカードは入れない
それぞれについて掘り下げていきましょう。
①:3積みを多用して再現性を高くする。
ラッシュデュエルは毎ターン5枚ドローを行っていき、その中でどう攻め込んでいくかを考えるゲームです。
自身の強いムーブを通しに行くために構築段階から試行錯誤していくわけですが、複数種類のカードを採用枚数を抑えて採用してしまうと、ターン毎に違った方向性のゲーム展開をもたらしてしまいかねません(一貫性の欠如)。
お手持ちのデッキをランダムに5枚ずつの束に分けてみると分かり易いと思うのですが、それぞれで極端に方向性が異なっていたり、ゲームが行えないような弱い組み合わせになりやすい場合、デッキとして破綻していると言えます。
非常に極端な例ですが、40種のカードを1枚ずつ採用したデッキをイメージしてみてください
かなり弱く感じますよね
カードの種類を増やすことは短いシーンで切り取って見ると有効に働くケースもあります。
しかしデッキ全体で見ると安定感やパワーを下げているような形にもなっているということです。
また、このようなターン毎のブレが最も発生しにくいのが3積みを多用したデッキです。
単純にカードの種類を可能な限り少なくすることでターン毎のブレを発生させにくくし、強い動きの再現性を高めることができます。
枚数採用でそんなに変わるか?という話になると思いますが、《七宝船》や《アメイジング・ディーラー》のようなカードが3積みされがちな現象と狙いが近いと言えば分かりやすいでしょうか?
その場その場でいらないカードを有効なカードに変換していくこれらが非常に強力なのと同じで、構築段階からノイズを可能な限り減らしていくことで一貫した方向性でゲームを進められるようになります。
またノイズをしっかり減らした上で、更に高水準な展開を求めるために3積みしている《七宝船》や《アメイジング・ディーラー》のドローエンジンを活用していく。
そんなイメージですね。
②:1~2積みの意図を考える
3積みを多用してできるだけカードの種類を減らそうというお話と逆になる1〜2枚の採用についてです。
- 2枚採用 → 重ね引きしたくないが、ゲーム中に1枚は引きたい
- 1枚採用 → デッキに入れておいて引けたらラッキーくらいのカード
このような感覚で採用枚数を決定している方も多いようで、僕自身もこの考え方は概ね理解できます。
ただこの思考にばかり囚われていると発生する罠があります。
例として40枚デッキに特定のカードAを2枚採用するとします。
この内20枚(ゲームで言うと相手ターン含め8ターン分)をドローした時に、Aがちょうど1枚ゲームに関わる確率は51.28%で、残りの確率では2枚引いてしまうか1枚も引けないゲームになります。
2枚採用の際に上記の狙いが達成されるのは2試合に1回程度となりますので、本来のゲーム中に1枚引くと言う狙いとはかなりの差異が発生している形になりますね。
これを踏まえると、環境の速度やゲームレンジ、デッキ内容(回転させる能力の高さ)に合わせた枚数採択を取るような視点に立つ必要があると言えます。
勿論ドローソースや墓地に落とす効果を使えば話は変わってくるので上記内容が全てではありません。
- 今期は自分のターンは2〜3ターンしか回ってこないから2枚では足りないな。
- ドローソースや墓地に送る効果が豊富なデッキだから2枚も要らないな。
と言ったように都度必要枚数の見直しを図るべきでしょう。
故に採用枚数の感覚を全てのデッキに同じように適用する事なかなり危険であるというお話しでした。
デッキ内容や環境に合わせて採用枚数を考えなくちゃいけないってことね
1〜2枚採用の考え方
1〜2枚採用は感覚的に行う以外に、デッキスペースの関係で1〜2枚を入れ込む形になる事も多いと思います。
本当にその枚数が適正なのかは兎も角として、枚数変更に使える他のやり方としては以下が挙げられます。
- デッキ枚数を41枚にして3積みに切り替える
- 役割が被るカードをグループとして考える
デッキ枚数を41枚にして3積みに切り替える
デッキ枚数を増やすことに抵抗がある人もいるかもしれませんが、実は確率計算上、デッキ枚数が40枚から41枚に増加する事による影響は大きくありません。
勿論40枚のスマートな形がベストです。
しかし必ずしも40にこだわる必要性はないんです。
むしろ40枚にすることに過剰にこだわってしまい、3枚入れるべきカードを2枚にしてしまうようなケースの方が問題だと僕は捉えています
役割が被るカードをグループとして考える
これはカードの種類毎に枚数を考えず、同じ役割のカードを同一のカードとして捉えるやり方です。
例えば《ことのはの妖精》と《ささやきの妖精》はステータスや効果の発動条件は異なるものの「墓地メタ」という共通する役割で採用することができます。
このような場合、それぞれの枚数を別の枠組みとして考えるのではなく、「デッキに墓地メタを計何枚積むべきか」と言った視点で捉える事ができます。
「重ね引きしたくないが、ゲーム中に1枚は引きたい」
もしこれらを「墓地メタ」はゲーム中1枚引ければ良いから2枚採用しようという思考でいても、それを2種類において適用してしまう計4枚と過剰に搭載する形になってしまいます。
単純で当たり前な話に感じる方も少なくないかもしれません。
しかし一方向に役割を持つカードを過剰搭載しているデッキレシピは意外にも多く散見されるので、構築の際は改めて意識してみてください。
③:極端なカードは入れない
- 相手依存の発動条件
- 特定対面でのみ効力が高い
などが分かりやすいでしょうか。
とにかくゲーム中に機能しない可能性のある不安材料は採用しないべきという考えです。
ラッシュデュエルは基本的に自分の動きを通すことを最優先するゲームです。
そのため発動条件やその効力にムラがあるカードをメインデッキから採用してしまうと、自身のデッキパワーを落とすことに繋がるんですよね。
例えば《監獄島アネ・ゴ・ロック》や《はたらくことのは》は特定対面の動きを大きく阻害してくれるカードですが、自身の攻め込む動きを補助するような仕事はできません。
また使い回すのも難しいことが多いため、効力を求める場合はある程度の枚数を搭載する必要があります。
場に残ったリソース+5枚ドローで仕掛け合うゲームにおいて、このような浮き札はゲームの勝利条件に向かっていく中で重大なノイズになる可能性があります。
故に効力が確実な特定対面にのみサイドから投入するような使い方がベターです。
またこのようなカードをメインから搭載しないと勝てないような対面があるデッキは、その他の対面時に大きなハンデを構築段階から背負う事になってしまうので、総合的に見るとマイナス面が目立つシーンが多くなってしまいます。
そのような極端なメタをメインの構築から要求するようなデッキはそもそも大会シーンで持ち込むには厳しいという形になりますね…。
例外もある
例外として【海竜ビート】の《ゴースト・サイクロン》や《キャットロワ チョイス》のように、元来デッキが持っている特性(海竜で言うと自身の墓地を空にする特性)と噛み合っていればピーキーなカードが許容されるケースもあります。
通常魔法
【条件】自分フィールドにモンスターがいない場合に発動できる。
【効果】相手フィールドの魔法・罠カード1枚を選んで破壊する。自分の墓地のモンスターが3体以下の場合、さらに自分は1枚ドローできる。
通常魔法
【条件】相手フィールドにモンスターがいる場合に発動できる。
【効果】自分のデッキの上からカード3枚を墓地へ送る。その後、自分の墓地のモンスターが3体以下の場合、自分の墓地のカード1枚を選んで手札に加える事ができる。
ただこれらもデッキ性質に沿っているとは言え、常に出力高く打ち出せるわけではないカードであるため、リスクとリターンを考えて運用していく必要はあります。
逆に平準的なカードパワーを持っていたり意識的に再利用できるようなメタカードは様々なデッキに取り入れ易いのではないかと思います。
効果モンスター
レベル4 / 炎属性 / 炎族 / 攻1000 / 守1000
【条件】なし
【永続効果】お互いはモンスター(炎属性以外)を特殊召喚できない。
《業火の結界像》はステータスに不安があるメタカードではあるものの、有効範囲が絶大でその存在の有無がゲームの勝敗に直結する時すらある分かりやすいパワーカードです。
直近収録の《レジェンド・ストライク》も相まって、一度墓地に送れると常に封殺のパターンを考えられる点でも、制限カードながらゲームに幅広いパターンをもたらしてくれます。
通常魔法
【条件】300LPを払って発動できる。
【効果】自分の墓地のモンスター(レベル4/攻撃力1600以下)またはレジェンド通常モンスター1体を選び、自分フィールドに表側表示で特殊召喚する。この効果で「レジェンド・マジシャン」またはレジェンド通常モンスターを特殊召喚した場合、さらに相手フィールドの魔法・罠カード1枚を選んで破壊できる。
効果モンスター
レベル4 / 闇属性 / 鳥獣族 / 攻1300 / 守1100
【条件】相手フィールドにモンスターが2体以上いる場合、デッキの一番上のカードを墓地へ送って発動できる。
【効果】このターン、このカードは2回攻撃できる。さらに、相手フィールドの表側表示の効果モンスター(レベル6)1体を選んで破壊できる。この効果でモンスターを破壊した場合、さらにこのカードの攻撃力はターン終了時まで600アップする。
《マッドレア・アクエラ》は【エクスキューティー】などレベル6を搭載してるデッキに対して非常に強力な面破壊&ライフ奪取能力を持っています。
それに加え、どの対面でも通用するような高品質なビートダウン性能を持っている取り入れ易いカードとなります。
地味に1枚墓地を肥やすボーナスすらあり、墓地利用系のエンジンになり得るため様々なデッキのサブアタッカーとしてもおすすめです。
また、こちらも《レジェンド・ストライク》に対応しています。
このようなモンスターは1枚採用するだけでも必要な場面で打ち出し易く、レベル4のメタ系能力を持つモンスターはかなり評価を上げていると感じます。
ご紹介した2枚に共通しているのは下級モンスターであることです。
当たり前かもしれませんがリリース素材や面の補助になり得るこれらはラッシュというゲームにおいて最低限の補償を兼ね備えてるようなメタカードと言えますね。
メタカードは相手に依存してたり、特定の状況のみ有効なイメージだったわ
「有効範囲の広いメタカード」や「メタ以外でも一定の役割を持てるカード」ならメインデッキから採用しても良さそうね
採用枚数の決め方
全体を通して僕がオススメするやり方としては、3枚を前提に取り込むところから、減数していくような調整が一番分かりやすく効果的かなと思います。
これは実際にテストプレイをしていく中で対象とするカードのゲーム出現頻度が高くなるやり方のため、カード単体の強弱についても検討し易くなります。
シーンを選ばない、単純に強いカードだったら3枚採用が当たり前のように行われますよね。
逆に最初から1〜2枚採用を前提に取り込もうとするカードには何かしらの欠陥や他カードとの繋がりの前提要求、シーン毎のムラがあるはずです。
ここの必要性を厳しく精査し無駄をなくしていくとシンプルで強いリストになりやすいですね。
僕自身も即決で3枚採用になるような物以外は常に減点方式、否定ベースの視点を取って調整しています。
まとめ
今回はデッキに採用する枚数のガイドを行いました。
まとめると以下の通りです。
- 3積みを多用して再現性を高くする。
- 1~2積みの意図を考える。
- 限定的にしか活躍しないカードは入れない
- 3枚を前提に取り込むところから減数していく調整が効率的
- 必要性を厳しく精査し無駄をなくしていくのがポイント
基本的には種類数を少なく絞ってスマートな形にすることがデッキの平均点と再現性を底上げするような構築になるかと思います。
また、○枚は事故らないため!と言った後ろ向きな固定観念に惑わされず、環境やゲームレンジ、デッキの特性に合わせて適正に採用枚数を見直す事で、自分の勝ち筋をしっかり通すようにしていきましょう。